(職員へのメッセージを転載します)
おはようございます。
週末の雨で桜も花から若葉へと季節は移ろいで行きますね。
年度始めだけでなく、これから毎週思いついたことなど皆さんへお伝えしていくことにしました。拙い内容ですがお付き合いお願いします。
さて、しばらく前の小諸警察署長のKさんは筆の立つ方でしたが、小諸署に異動してきた署員に小諸の町についてのレポートを課していました。そのレポート集は市役所にも届けられましたが、所長さんはレポート冒頭あいさつで乃南アサの『ボクの町』という小説の中の「この町の何でも屋」という言葉を紹介していました。
この小説の中の、先輩署員が見習い警察官に語る
「地図や統計を眺めるだけじゃなくて、どれくらい歩き回ってるかってことだ」
「自分が、どういう町の治安を守ってるか、それを知らなきゃ、どうしようもないぞ。どんな人が暮らしていて、どういう雰囲気で、どこに何があるか、昼と夜で、どんな風に変わって見えるか、そういうことを肌で覚えろ」
「それでな、まず、この町を好きになれ。この町に住んでる人たちの生活を守りたいと思えるようになれ」
「俺たちはな、この町の何でも屋なんだ」
という部分を署長さんは署員に伝えたかったのだと思います。そしてこのことは私たち小諸市職員にも言えることだと思います。
現場を知るということでもう一つ、
4月4日に第52回 国家公務員合同初任研修開講式で安倍総理が訓示をしました。
総理はこの中で行政官でもあり、民俗学を確立した柳田國男について触れています。柳田は農村の窮状を変えるため農商務省へ進み、農村の実情から当時の農業政策に異議を唱えたが当時は受け入れられなかったとのことです。
総理は
「皆さん、現場に出て、現場の声に、じっくりと耳を傾けてください。頑張る人々の思いに接して、国民本位の政策を磨き上げてください。霞が関の中だけでつくられた、頭でっかちの理論が、世の中に受け入れられることはありません。」
「皆さんは評論家ではありません。紙の上での提言、報告書の類いをつくることだけに満足してはなりません。むしろ、ここからがスタートです。自ら汗をかいて周りを説得し、実現にこぎ着ける。行政のプロフェッショナルとして、政策をやり抜くことが求められます。」
と訴えています。
国県よりも現場に密着した私たちは国県の職員以上に現場に依拠しなければ存在意義が無いと思います。
現場に近いということはそれだけ厳しいことも多いですが、まさにここからスタートし現場を変えていくことが私たちの仕事です。
市長の年度始めの訓示にありました、市職員を志した皆さんそれぞれの「青雲の志」を改めて胸に前へ進みましょう。
PS 柳田と小諸との関係ですが、藤村記念館の前庭に「椰子の実」の詩碑があります。藤村は柳田から伊良湖岬に流れ着いた椰子の実のエピソードをもらい、それをもとに自身の境遇を重ね合わせ作詩したと言われています。
(ついでに、福井敏晴の『終戦のローレライ』ではこの「椰子の実」の詩が全編とおした隠れたモチーフになっています。)
『ボクの町』乃南アサ/著 新潮社 2001/12/01
http://www.shinchosha.co.jp/book/142522/
平成30年4月4日第52回 国家公務員合同初任研修開講式 安倍内閣総理大臣訓示(首相官邸ホームページ)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0404kunji.html